イギリスの本は、堅実で地味でしっかり作ってあるという印象ですが、一方フランスにももしかするとイギリスよりも面白い挿絵本の伝統があります。
18世紀くらいから、フランスは大変素晴らしい挿絵本を出しています。その中で一般の人々に愛された挿絵本が出版されたのが19世紀半ばくらいでした。
イギリスよりもかなり早く良い挿絵本が出ています。
これはその中の1冊で、非常に有名なグランビルという人が作った『フルール・アニメ』という有名な戯画集です。今でいうと幻想漫画集といって良いかと思います。いかにもフランス的だなと思うのは、こういう奇想天外な絵です。花が人間の姿をし、背景にそれどれの国や、機械や都市の風景が描かれている。花の物語であり、また植物学でもあります。植物学をわかるらせ、花の幻想を物語りとして伝えるという二重の意味をさらに挿絵が担っています。この挿絵がなかなか幻想的なのですね。装丁がまた、フランスの本らしい華やかな装丁になっています。フランスの本は高価な革の装丁が多いのですが、製本クロスにして金箔で押したこのような本は、それほど高くなく売り出され、一般の人々も手に入れて楽しめた。
こうした伝統の中からジュール・ベルヌですとか非常にポピュラーな作家達が世に出て、これと同じような魅力的な本を出したんですね。ベルヌの科学小説も挿絵無くしては、あのように流行らなかったと思います。フランスのこうした不思議な楽しい華やかな挿絵本の世界があります。これも今回のコレクションの中にたくさん入っています。